東京
2009年 9月 30日

2年前に東京に来た時天気が悪く風邪をひいてしまい、同時に他のトラブルも重なったため、この世界一大きな都市には苦い思い出が残りました。今回は天候に恵まれ、僕は大輔のアパートに泊めてもらい、2週間都心でとても忙しい毎日を過ごしました。

今回東京で、相撲の観戦をしたいと思っていました。相撲は、力士が横綱という永久の栄光を目指して戦います。勝敗が決まるのは、単純に相手を土俵の外に押し出すか、相手の足以外の体の部分が地面に触れたときです。僕は運良く相撲の季節に東京に行き、事が早い友人は前もってチケットを手配してくれていました。僕たちのほか数人相撲ファンが加わって国技館へ向かいました。僕たちの席は2階の最後の列から2番目でした。相撲の雰囲気を観察するには絶好の場所でした。場内は満席で、試合は一日中続いたのですが、僕たちは有名な力士がそろう終盤20試合を見ました。一試合はわずか数分で、力士同士が初めに行う儀式が少し退屈でしたが、その間に友人にいろいろ質問しました。有名な力士が場内に入ると、観衆は大きな拍手と声援で迎えました。横綱は他の力士と同じように落ち着いた表情で表れました。大きい力士がいつも勝利するのではないということ、そして力士の多くはあの脂肪の下にかなりの筋肉が隠れていることを知りました。チケットは高かったけれど、その分見たかいがありました。これで日本一大きな力士、山本山を見たことも自慢できます。



僕が野球ファンではないことを知っている人も多いと思いますが、一度東京ドームでジャイアンツの試合を見たいとは思っていました。東京都の中心にあり国技館からさほど遠くない東京ドームには、4万5千の野球ファンが集まります。今回やってきた相手チームは広島カープ。一緒に来たかわいい照美ちゃんも、ライブで野球を見るのは初めてとのことでした。大都市にしては小さなステジアムで、僕たちが行ったときはすでに全席完売。結局立ち見になってしまいましたが、全然悪くはありませんでした。熱狂ファンに囲まれ、ステジアム全体がよく見えました。しばらくピッチャーの防御が続き、あまりおもしろくなかったのですが、僕の興味をひいたのはファンでした。特にカープファンは大声で大きな旗を掲げて応援していました。 トランペット演奏やダンス、そして選手一人一人の応援歌を歌うなど、ファン同士がよくまとまっていました。僕たちの横に立っていた3人の男性は胸にカープのロゴの入れ墨をしていて、回が終わるごとに大声で叫んでいました。うち一人は自分のTシャツを振り上げ、お気に入りらしきプレーヤーの名前を叫ぶと、閉じた目からは涙らしきものが頬をつたっていました。意外なシーンでした。試合は10回で終了し、1対0でジャイアンツが勝ちました。すべてが終わると、4万5千以上のファンは秩序を乱すことなく球場を出て、いつもの生活に戻っていきました。疲れた僕たちはカープが負けて少しがっかりしましたが、この経験を嬉しく思い、ファンとともにドームを後にしました。

日本、というより東京には「オタク」が多いことで知られています。オタクとは、テレビ番組やアニメ、またビデオゲームに夢中の人の事をいいます。こういう人の変な行動を前から聞いていたので、興味津々でした。電気街とアイドルグループで知られる秋葉原に行くとオタクを見ることができます。アイドルバンドとは、オタクの目をひくための音楽バンドです。ラッキーなことに、友人のノブはアイドルバンドのディレクターで、たまたまバンドが新しいシングルのプロモーションのために、フリーで歌うという情報を得ました。大輔と僕が東京ドームのすぐ横の野外ショーを見に行くと、すでに400から500人のオタクが集まっていました。7人のガールバンドは数曲歌った後、ファンと握手をし、ファンはメンバーとポラロイドカメラで記念撮影をしていました。イベントのねらいはというと、バンドと握手をするためには、近くのキオスクでCDを買わなければいけないのです。CDは一枚2800円(30ドル)で、写真がほしいときはCDを3枚買う必要があります。列をなしているオタクがなんだかかわいそうに思えて笑ってしまいました。ノブは、僕がそこでたった一人の外国人だったため、ステージに上がらせようとしました。僕は3枚の同じCDを渡され、すぐさまステージに上がり、女の子と写真をとることになりました。そしてイベント主催者の有名なお笑い芸人塙宣之さんと話もしました。ノブが宣伝のため、僕を無理矢理ステージに上がらせたことはもちろん塙さんには言いませんでしたが。まったく困った友人です。塙さんとの会話の後すぐにステージを去りました。ポラロイドの写真を見ながら、オタクになるというのはどんな感じかわかった気がしました。

東京はすること見る事がありすぎて、理解するには大きすぎる都市です。しかし今回僕が出会った人々が、この大都市をより身近なものにしてくれたと思います。滞在中お世話になった友人のみなさんにはとても感謝しています。僕の旅が楽しくなるよう色々と計画してくれ、忙しくしてくれたため、とても有意義な時間を過ごせました。僕は何年も前に日本に魅了されましたが、今回の旅行も例外ではありません。でもこの国ではまだまだ発見する事がたくさんあります。

大輔のアパートを出るとき、湯沸かし器さえ僕に話しかけました。それが日本なのです。

著者:オガスティン・デニス 翻訳:西村李歩
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