神戸(兵庫)−益田(島根)
2009年 9月 18日

今回の旅の出発点となったのは神戸。富士さん夫婦の家に数日お世話になりました。息子の大輔君とは数週間後に東京で会いました。僕は数年前、神戸に来たことがあったので、今回は奥さんの美由紀さんが四国を案内してくれることになりました。僕の友人ノブと彼女の梨里子さんも同行しました。将来、僕はこの小さな島にある88の寺を巡礼したいと思っています。僕たちは四国巡礼の出発点である、徳島県の札所一番霊山寺に立ち寄りました。この寺を見て、僕はいつか札所巡りをすることを心に決めたのです。すばらしい経験になるに違いないと。その後、僕たちは北東の観光名所へ向かいました。ここでは二つの波が互いにぶりかり合い、凄まじい渦巻きになって海岸の近くに流れ込む現象が観察できるのです。その日は四国地方で一番おいしい魚を食べ、一日を締めくくりました。

僕は島根県益田市で多くの体験をしました。寿司を食べること以外で一番興味深かったことといえば、神楽です。歌舞が始まるまで神楽が何なのか全く知らなかったのですが、実際見ていると、非常に奥深い日本の神話の中に吸い込まれていくようでした。神楽とは、神道の神々や各地の伝説に基づいた歌舞です。舞手は色とりどりの衣装に身を包み威厳ある面をつけ、神、勇者、鬼などを演じます。昔、人々はこうした儀式で祈祷を捧げ収穫の奉納をしていたそうです。奏楽は、大太鼓、数人の銅拍子、そして篠笛の少人数で成り立っています。歌舞は5時間あまりでした。地面に腰をおろして長い間座ることに慣れていない外国人にとって、5時間は特に長いと感じました。しかし最後の舞台で、日本神話の神スサノオと8匹の大蛇との戦いで有名な「やまたのおろち」を見たとき、ずっと座っていたかいがあったと思いました。



偶然にも、島根県出雲市の有名な出雲大社を見学する機会を得ました。毎年10月、日本中のすべての神がこの出雲大社に集まり、一ヶ月以上神議をするのだそうです。僕は何と言っても、山のふもとに構える出雲大社の壮大な境内に圧倒され、言葉を失いました。神々が集う場所だからでしょう、この神社には不思議な雰囲気が漂っていました。その後僕たちは、松江の近くの足立美術館へ行きました。ここで見た日本庭園は、国内で最も評価が高い日本庭園のひとつで、本当に素晴らしかった。まわりの山も庭園の一部となっていて、人の手が加わることがないようにと買われたそうです。



他に、益田でのおもしろい体験といえば、ラーメン職人と包丁を作る鍛冶職人の訪問と、伝統芸能の操り人形劇の見学をしたことです。そこでは、ステージ裏で実際に人形を動かす体験もさせてもらいました。これらを体験できたのも、友二のおかげです。写真を見てください。



益田を満喫した後、僕は世界で一番大きな都市、東京へ向けて出発しました。益田の皆さんには、大変お世話になり感謝しています。僕は日本人の温かいもてなしの心と親切さに心を打たれました。また、僕の日本人のお母さん、大畑るり子さんと親友のエキダさんにはいろいろと助けていただきました。本当にどうもありがとう。

次回は旅の最終回です。

著者:オガスティン・デニス
翻訳:西村李歩


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